第25回日本医療ガス学会学術大会・総会

  大会長 磯野 史朗

(千葉大学大学院医学研究院 麻酔科学)






【学会のテーマ】
第25回日本医療ガス学会学術大会・総会を2022年10月15日(土)に、千葉県木更津市にて開催いたします。今回のテーマは、『パルスオキシメーターを超えて:組織低酸素の診断と改善』とさせていただきました。パルスオキシメーターは、医療のあらゆる領域で必須のモニター機器となっております。現在、全世界を悩ませているCOVID-19による死亡者は、このパルスオキシメーターが活用できなかったら、もっと多かったに違いないと考えるのは私だけではないと思います。残念ながらパルスオキシメーターの発明者である青柳卓雄先生は、2020年4月18日にご逝去されました。世界中でパルスオキシメーターが活用されている現状を見ながらも、このコロナ禍にあって探求心の強い青柳先生は更なる医療の発展につながる機器開発を常にお考えになっていたのではないかと思います。われわれ人間は酸素というガスを吸入し組織に届け、命を維持し人間らしい活動を続けております。その酸素運搬に関わるプロセスをモニターし、かつ制御、治療できるようになることは、医療の大きな目標です。われわれには、青柳先生の発明をさらに発展させることが求められております。学会場にお越しできない方にも、特別講演や共済セミナー、さらには一般演題・企業展示を聴講できるようにWEBでの同時開催としました。

【共催講演】(9時30分開始、16時10分終了 WEB配信)
今回の学会では、まずはパルスオキシメーター開発とその発展に関わる史実を、最近、日本麻酔科学会機関誌であるJournal of Anesthesiaに詳しく記録された宮坂勝之先生からお話しいただきます(参考文献1)。さらに、生体内の酸素運搬や生体内ガスに関わる最近のトピックを取り上げて、パルスオキシメーター発明を超える人類への貢献の可能性について勉強する共催セミナーを企画しました。長崎大学海洋未来イノベーション機構名誉教授の石松惇先生には、「干潟で命をつなぐ魚たち」という演題名で、マッドスキッパー類いわゆるムツゴロウが海面下地中の巣穴の中でどのように酸素を取り込んでいるか、興味深い生態とともに酸素摂取方法の多様性についてご講演いただきます(参考文献2)。中澤春政先生には、脳組織酸素飽和度モニタリング、さらには未来の低酸素モニタリングとして臨床応用が期待されている遊離ミトコンドリアDNAに関しての現状や今後の展望について紹介いただきます。そして、垣花学先生には「毒ガスが人を救う?」というタイトルで、それ自体は通常生命を脅かすが、使用方法によっては生命の蘇生に活用が期待できるガスについて、ご自身の研究も含めた最新の知見を教育的かつ俯瞰的にご講演いただき、医療ガスの可能性を考える機会を企画しました。

【一般演題・企業展示】(13時10分から15時00分WEB中継)
一般演題(ポスター)は、発表者が医師ばかりでなく看護師、臨床工学技士の10演題の応募をいただきました。会場参加者全員がポスター発表に参加し発表者との議論ができるようにポスター閲覧時間を設定し、現地参加者に最優秀演題、優秀演題を選んでいただくように企画しました。ポスター会場内企業展示には8社が展示参加をいただきました。参加者が最新の製品情報を得やすいように、企業参加者との情報交換をしやすい配置としました。企業からの展示アピール時間を設け、WEB中継します。隣接駐車場内では、液体ガスを用いた実験を体験していただき、医療ガスへの理解を深めていただく予定です。ハイインパクト展示賞も現地参加者に選んでいただきます。

【会場と休憩所での懇親】
学会場は、東京湾アクアラインの千葉県側起点にある『龍宮城スパホテル三日月(http://www.mikazuki.co.jp/ryugu/)』といたしました。高速バスを利用し、羽田空港から約30分、東京駅や横浜駅からも約40分と、都心からのアクセスが非常に良いです。東京湾に隣接する学会場からは、10月半ばには、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」とほぼ同じ構図の富士山に出会えるチャンスも多くなります。多少ご遠方の方は、むしろ宿泊されることもお勧めします。全室オーシャンビューのお部屋は、ご家族はもちろん、同僚とも共有できる大きさです。スパ施設で学会前後にリラックスもできます。 一般演題・企業展示会場内に、休憩場所を設置しました。久しぶりの再会で近況も話し合える現地開催学会の良さを感じていただければと思います。コーヒーや飲み物のほか、千葉県の銘菓を各種味わっていただけるようにしました。その場で、あるいはお土産にどうぞ。休憩場所は、東京湾を望むホテルロビーもご利用できます。 皆さんにとって有意義な学会となるように準備を進めてまいります。リラックスしながら議論を深めるため、学会でのネクタイ着用などは不要といたします。事前のリモート参加申し込みで現地参加も可能です。龍宮城でお会いできるのを楽しみにしております。